香港漂流

(上)「このままでは香港は消滅」 若者の怒り

香港の高校生たちが政府に抗議するために行った「人間の鎖」。政府や警察に身元が判明することを恐れ、多くの参加者は顔写真の撮影を拒む(森浩撮影)
香港の高校生たちが政府に抗議するために行った「人間の鎖」。政府や警察に身元が判明することを恐れ、多くの参加者は顔写真の撮影を拒む(森浩撮影)

 アナキン・ウォンさん(19)は今月、あるカードにハサミを入れた。香港人に与えられる中国への入境許可証だ。「中国と決別する」。その意思を示すために切り刻んだという。

 アナキンさんは、父が経営する運送会社に勤務するが、会社を休み、黒いマスクで顔を包んでデモに参加する。父は香港人、母は中国生まれだが、ともにデモ参加は黙認している。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案は、きっかけにすぎない。アナキンさんを突き動かすのは「香港が消滅してしまう」という怒りと不安だという。