久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

ボルトン氏解任とイラン緊迫でほくそ笑む金正恩氏

9月6日、満面の笑みで「第14回全国教員大会」参加者の歓迎を受ける金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信=朝鮮通信)
9月6日、満面の笑みで「第14回全国教員大会」参加者の歓迎を受ける金正恩朝鮮労働党委員長(朝鮮中央通信=朝鮮通信)

 北朝鮮は、トランプ米大統領が対北強硬派のボルトン前大統領補佐官(安全保障問題担当)を更迭したことを歓迎している。これにより、米朝実務協議が再開される可能性が高まった。北朝鮮としては、ボルトン氏が主張するいわゆる「リビア方式」での非核化がトランプ大統領によって「過ち」と断定されたことに気をよくし、「金一族の体制は保証される」と確信したもようだ。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長やその周辺は、イラン情勢が緊迫している現状では、トランプ氏が北朝鮮とイランの“2正面”に対処するのは難しい-と踏み、ほくそ笑んでいる

「新しい計算式」と「新たな方法」

 9月上旬、米朝関係をめぐる雲行きが一気に変わった。

 短距離弾道ミサイルなどを相次いで発射している北朝鮮に対し、今夏、ポンペオ米国務長官は強硬姿勢を見せていた。たとえば8月27日には、「われわれは北朝鮮のような不良行動を座視できない」などと発言していた。北朝鮮はこれに対し、崔善姫(チェ・ソンヒ)第1外務次官が談話で「米国との対話に対する期待はますます消えており、すべてを再検討しなければならない」など反発、和解ムードは冷え込むかにみえた。

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