李登輝秘録

第6部 薄氷踏む新任総統(6)民主国家への道 歩むときがきた

台湾で初めて開かれた「国是会議」に登壇した総統の李登輝(中央)=台北市内、1990年6月28日(李登輝基金会提供)
台湾で初めて開かれた「国是会議」に登壇した総統の李登輝(中央)=台北市内、1990年6月28日(李登輝基金会提供)

 1990年5月、李登輝は堰(せき)を切ったように台湾の政治改革に乗り出す。第8代総統に就任した5月20日のその日、李は総統権限を行使して政治犯だった20人の特赦と、14人の公民権回復を発表した。

 79年12月に南部の高雄で起きた民主化要求デモ「美麗島事件」で、反乱罪に問われた民主活動家や弁護士らが、その大半だった。

 同事件にかかわった政治犯として7年あまり収監され、87年に釈放された姚嘉文(よう・かぶん)(1938年生まれ)もこのとき、公民権を回復した一人だ。

 「李登輝のあの決断には大きな意味と意義があった。自由と民主と人権を求めた美麗島事件に『なんら罪はない』と証明したことだ」と強調した。