
1990年5月、李登輝は堰(せき)を切ったように台湾の政治改革に乗り出す。第8代総統に就任した5月20日のその日、李は総統権限を行使して政治犯だった20人の特赦と、14人の公民権回復を発表した。
79年12月に南部の高雄で起きた民主化要求デモ「美麗島事件」で、反乱罪に問われた民主活動家や弁護士らが、その大半だった。
同事件にかかわった政治犯として7年あまり収監され、87年に釈放された姚嘉文(よう・かぶん)(1938年生まれ)もこのとき、公民権を回復した一人だ。
「李登輝のあの決断には大きな意味と意義があった。自由と民主と人権を求めた美麗島事件に『なんら罪はない』と証明したことだ」と強調した。