李登輝秘録

第6部 薄氷踏む新任総統(8) 万年代表を退任させ憲法改正  

「動員・反乱鎮圧時期条項」の正式廃止を宣言した李登輝=1990年4月30日(李登輝基金会提供)
「動員・反乱鎮圧時期条項」の正式廃止を宣言した李登輝=1990年4月30日(李登輝基金会提供)

 台湾の民意を吸い上げる1990年6~7月に開かれた「国是(こくぜ)会議」は、国民党政権が中国大陸で制定したままの憲法の改正などを提言した。

 総統の李登輝は、台湾を中国との「内戦状態」に縛り付ける法的な根拠だった「動員・反乱鎮圧時期条項」の改正を最優先に取り組んだ。

 「(国民党と共産党による)国共内戦がなおも続いているという条項の規定を変えない限り、台湾の民主化は一歩も進まない」と考えていたからだ。しかし、国民党政権では憲法もこの条項も、総統選出や憲法改正で権限をもっていた最高意思決定機関の「国民大会」でなければ変更できなかった。さらなる問題は「国民大会」の代表約700人の多くが、48年の大会設置時に中国大陸の選挙区で選出された形をとっていたことだ。