李登輝秘録

第6部 薄氷踏む新任総統(9)特務機関廃止、白色テロに終止符

34年にわたる亡命生活後、1992年に故郷に戻った黄昭堂の像=台南市郊外(河崎真澄撮影)
34年にわたる亡命生活後、1992年に故郷に戻った黄昭堂の像=台南市郊外(河崎真澄撮影)

 総統権限を行使して1990年5月に政治犯の特赦や公民権回復を実行した李登輝は次に、「陰謀犯」による内乱罪を規定していた刑法100条の修正を、立法院(国会に相当)や関係当局に働きかけていた。国民党支配からの「台湾独立」を主張したり、集会を開いたりした民主活動家には懲役刑が待っていた。日本や米国など海外に亡命した活動家もブラックリストに入れられ、台湾に戻ることさえ許されなかった。戻れば逮捕だ。

 野党の民進党などは刑法修正を強く求めていた。政治団体「台湾独立建国連盟」の前主席、黄昭堂(こう・しょうどう)(1932~2011年)は、「パラグアイの上院議長が92年2月に訪台して、『台湾独立を主張しただけで違法にするのは非民主的だ』と批判したことがある。李登輝が発言を促し、『外圧』にしたのだろう」と考えていた。