「四島返還」ぶれずに訴え 木村汎氏を悼む 本紙論説顧問 斎藤勉

正論大賞受賞記念大阪講演会で熱弁をふるった木村汎・北海道大学名誉教授=大阪市北区(彦野公太朗撮影)
正論大賞受賞記念大阪講演会で熱弁をふるった木村汎・北海道大学名誉教授=大阪市北区(彦野公太朗撮影)

 わが国を代表するロシア研究の泰斗で、2年前に第32回正論大賞を受賞した木村汎(ひろし)氏が83歳で急逝した。戦後最初の国家主権・国益喪失事件である北方領土問題に対し、旧ソ連時代から歴史的正義である「四島返還」という立場を貫き、些(いささ)かもぶれることなく訴え続けてきた信念の人だった。

 領土問題が本筋からそれていくことにも厳しい批判を加えてきた。返還運動の重心、羅針盤ともいうべき大家を失い、対露外交の一層の漂流が危惧される。ロシア外交の横暴も災いして、返還への道筋さえ見えない中で、卒然と世を去った本人の無念さはいかばかりだろう。

 ■「露にだまされるな」

 木村氏の功績の一つは、英首相だったチャーチルにさえ「謎の謎のそのまた謎」と嘆かせたロシアを、また北方領土問題の真相を、平易な言葉でズバリ明快に、時に諧(かい)謔(ぎゃく)も込めて解説してくれたことだ。

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