
ドイツで11月、メルケル連立政権に加わる中道左派、社会民主党(SPD)の党首選が行われ、事前の予想に反し、連立継続に懐疑的な男女ペアが共同代表の党首に選ばれる結果となった。原動力となったのは一人の若手政治家。政治経験は浅いが、「影の党首」とささやかれるほど存在感を高め、二大政党の退潮が目立つドイツ政治を揺さぶっている。(元ベルリン支局長 宮下日出男)
新体制の立役者
社民党は今月6~8日の党大会で、11月の党首選決選投票を制したノルベルト・ワルターボルヤンス氏(67)とサスキア・エスケン氏(58)を党首に正式に選出した。同党は今回、初めて共同代表制をとった。
党内左派出身の両氏はかねて、メルケル氏の保守系与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)との連立に懐疑的な姿勢を示しており、連立の枠組みが揺らぐとの観測も取り沙汰されてきた。今回の党大会では早期の連立離脱は封印し、党の政策をより反映させるようメルケル氏側に求める方針に転じたものの、今後は政権内のきしみが一段と増す可能性がある。