李登輝秘録

第8部日本よ 台湾よ(1)「日本政府の肝っ玉は小さい」

2001年4月22日に訪日した李登輝夫妻=関西国際空港
2001年4月22日に訪日した李登輝夫妻=関西国際空港

 ■訪日の壁にいら立ち 米中緊張で動く

 2001年4月22日午後6時すぎ。李登輝は夫人の曽文恵(そう・ぶんけい)の手を握りながら関西国際空港のゲートに姿を現した。訪日は16年ぶりで、前年に台湾の総統を退任してからは、初めてだった。

 岡山県倉敷市の病院で心臓病専門医から治療を受けるためだったが、李へのビザ(査証)発給を日本政府は当初、しぶっていた。李の訪日を「政治目的だ」と抗議した中国政府への配慮が、見え隠れしていた。

 台湾と外交関係のない日本は、総統や行政院長(首相に相当)など、現職要人の訪日を原則として認めていない。退任後も訪日は事前の承認を求められた。

 「日本政府の肝っ玉はネズミより小さい。人道的な理由でも日本に行けないのはおかしい」。李は台北郊外の事務所で記者団にこう話し、曖昧な姿勢の日本政府を突き上げた。関西国際空港に降り立つ7日前、4月15日のことだった。秘書の鍾振宏(しょう・しんこう)(1929~2019年)によれば、李にしては珍しく気色ばんでいた。

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