黒瀬悦成の米国解剖

トランプ氏は「クレイジー」がお好き

「米国保守連合」(ACU)の年次総会「CPAC2020」で演説するトランプ米大統領=2月29日、メリーランド州オクソン・ヒル(AP)
「米国保守連合」(ACU)の年次総会「CPAC2020」で演説するトランプ米大統領=2月29日、メリーランド州オクソン・ヒル(AP)

 「世論調査をしてみようぜ。クレージー(頭がおかしい人物)のバーニーと、スリーピー(退屈)なジョーと、俺はどっちを簡単に倒せると思う?」

 2月26~29日に米ワシントン近郊で開かれた、全米最大の保守団体「米国保守連合」(ACU)の年次総会「CPAC2020」。最終日に来賓として満を持して登壇したトランプ大統領(73)が約1万人の熱狂的な聴衆に問いかけた。

 「クレージー・バーニー」とは急進左派のバーニー・サンダース上院議員(78)、「スリーピー・ジョー」とはジョー・バイデン前副大統領(77)のことだ。ともに11月の大統領選でトランプ氏の再選を阻止しようと、民主党の大統領候補指名争いでしのぎを削っている。

 聴衆の反応は明快だった。トランプ氏が「叫び声で教えてくれ。バーニーと戦ってほしいか」と促すと、会場を揺るがすような拍手と歓声が響いた。