黒瀬悦成の米国解剖

世界を駆ける中国の新型コロナ「偽情報工作」 

米国務省の「グローバル関与センター」(GEC)のリー・ガブリエル特使兼調整官(米国務省提供)
米国務省の「グローバル関与センター」(GEC)のリー・ガブリエル特使兼調整官(米国務省提供)

 今やパンデミック(世界的大流行)と化した、新型コロナウイルスという「見えない敵」との戦いに勝利するために死活的に重要となるのは、各国がウイルスに関する情報を迅速かつ誠実に共有していくことであることは論を俟たない。

 しかし、世界が未曽有の危機にさらされる中においても、こうした「常識」を働かせようとしない国がある。新型コロナ感染の発生国である中国、トランプ米政権が中国と同様に「戦略的競争相手」に位置付けるロシア、そして米国と核問題で対立するイランだ。

 ■荒唐無稽な陰謀論

  これら3カ国は、ウイルス感染情報の隠蔽や偽装だけでなく、新型コロナ危機を利用して米国の国際的信用をおとしめるという共通の目的の下、互いに連携して世界規模のディスインフォメーション(偽情報)工作を展開している。

 「新型コロナは中国湖北省武漢市に米国が持ち込んだ」「新型コロナは米国の生物化学兵器だ」などとする荒唐無稽な陰謀論は、全て中露とイランが仕組んで流布したものだ。