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EUは命を守るのか 新型コロナで「国境なき欧州」は「鎖国の共同体」へ 三井美奈

弔意を表すために半旗に掲げられたイタリア国旗とEU国旗=3月31日、ローマ(ロイター)
弔意を表すために半旗に掲げられたイタリア国旗とEU国旗=3月31日、ローマ(ロイター)

 欧州連合(EU)で、新型コロナウイルスの感染による死者は4万人を超えた。まるで「戦時中」のような緊迫感の中、首脳たちは3月末、テレビ会議で刺々しい応酬を交わした。

 イタリアのコンテ首相は「コロナ債」と呼ぶユーロ圏共同債を発行し、感染のひどい国々の救済を求めた。「これができなければ、EUは終わりだ」と、必死に訴えた。

 ドイツのメルケル首相は「むちゃな期待はしないで」と応じない。

 スペインのサンチェス首相はコンテ氏に加勢し、「今が緊急事態だと分かっていますか」とメルケル氏に食ってかかった。会議は決裂した。

 共同債は、ユーロ圏加盟国が借金を共有する仕組みだ。発行を求めたイタリア、スペイン、フランスは、いずれも重債務国。これ以上、国債発行ができないので「ユーロの傘」を頼った。実際にはドイツやオランダ、北欧の財政健全国が、負担を肩代わりすることになる。一見すると、10年前のギリシャ危機の「南北対立」が再燃したようだが、今回は人命がかかっている点でずっと重い。

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