加藤達也の虎穴に入らずんば

新型コロナとの3週間戦争

新型コロナウイルスに感染した阪神・藤浪晋太郎投手(右)。味覚と嗅覚の異状が現れた=4月23日午後、兵庫県西宮市(代表撮影・共同通信)
新型コロナウイルスに感染した阪神・藤浪晋太郎投手(右)。味覚と嗅覚の異状が現れた=4月23日午後、兵庫県西宮市(代表撮影・共同通信)

 中国・武漢発の新型コロナウイルスはいまだに命を脅かし、社会に不安を蔓延(まんえん)させて暮らしを破壊しようとする。危機は実際のところまだ緒戦段階に見えてならないが、対抗手段の光明も生まれつつあるように思われる。

 3月下旬から約3週間、筆者は家族とコロナとの“闘い”を強いられた。初めに断っておくと、筆者も家族も感染したわけではない。だから体験がどこまで普遍性を持つものか確証はない。ただ社会が未知の感染症に包囲された中で、ある家庭がこれとどう向き合ったか、その一部を共有することもある程度、意味はあるのではないかと思う。

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 3月25日の夕、原稿を書いていると携帯が鳴った。都内の勤務先の寮で1人暮らしをする社会人2年目の長子だった。発熱38度に倦怠感(けんたいかん)-。新型コロナが疑われた。健康を心配する一方で、頭をよぎったのは筆者が感染していた場合、やりかけの仕事をどう処理するかという点だった。

 長子は同僚への感染を予防するため寮から自宅に戻った。そこで妻を含む3人で話し合い、原則通り37・5度以上の熱が4日続いたら保健所へ相談することにしたが、3日目に平熱になった。

 発熱から6日目の30日、「味覚と嗅覚の異状」が現れた。阪神タイガースの藤浪晋太郎投手の症状が重なった。長子が陽性であれば筆者と妻も自主隔離に入らねばならない。重症化の可能性への恐れと同時に社会生活上の不安もよぎる。

 翌日、長子が上司に経過を説明すると所属長に報告が上がり耳鼻咽喉科の受診を指示された。この日、筆者も社に報告し、以後自宅待機となった。

 耳鼻咽喉科の受付で、発熱と味覚障害の事実を説明したので、物々しい防護衣を着た医師による診察を予想したが、現実には白衣にマスク姿の女性医師が淡々と診察していた。

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