
中国の湖北省武漢を感染源とする新型コロナウイルス問題で、米国や英国、豪州など計8カ国から、損害賠償を中国に求める訴訟が相次いだ。賠償の総額は中国の年間GDP(国内総生産)のおよそ7年分の100兆ドルと報じられた。中国外務省は訴訟の動きに「悪意がある」と反発した。
だが訴訟に限らず、今回の新型コロナ問題が国際社会と中国の対立を激化させる要因になることは、もはや避けられそうにない。場合によっては何らかの「有事」に発展する懸念すらある。日本は危機的事態への備えはできているのか。(河崎真澄)
■共産党の資産凍結
トランプ米大統領は新型コロナウイルス問題をめぐり、中国が感染情報を当初は隠蔽するなど、誤った対応で深刻な事態を引き起こしたと批判している。米ワシントン・ポスト紙(電子版)などは、トランプ政権が中国への「報復措置」を検討していると報じた。
感染源が武漢のウイルス研究施設にあるとの疑惑も強まっており、トランプ政権は調査を急いでいる。関税の大幅引き上げなど経済制裁のほか、米政府として中国を相手取った賠償請求訴訟も選択肢にのぼる。