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愛国プロパガンダの新象徴「軍のための大聖堂」誕生 プーチン氏モザイク画が問題化

ロシア国防省の主導で、モスクワ近郊に建築されている「ロシア軍事力大聖堂」(聖堂建設寄付基金の公式ホームページから)
ロシア国防省の主導で、モスクワ近郊に建築されている「ロシア軍事力大聖堂」(聖堂建設寄付基金の公式ホームページから)

 ロシアの首都モスクワ近郊に、同国軍や軍人を祝福する巨大な「ロシア軍事力大聖堂」が近く完成する。この聖堂は「過去の全ての戦争に従軍した国民にささげられる」と説明されてきた。しかし最近、聖堂内のモザイク画に、プーチン大統領や旧ソ連の独裁者スターリン、2014年のクリミア併合を誇示するスローガンが描かれていたことが判明し、露メディアから批判も出た。聖堂はプーチン政権が進める軍事大国化と愛国プロパガンダ(政治宣伝)の強まりを象徴している。(モスクワ 小野田雄一)

     

 ロシア軍事力大聖堂の建築計画は18年9月、ショイグ国防相が発表。場所は第二次世界大戦の対ドイツ戦でソ連軍の出撃地点となったモスクワ近郊の「愛国公園」敷地内で、同月行われた着工式典にはプーチン氏も参加した。今年75周年を迎える対独戦勝記念日(5月9日)に合わせて完工する計画だったが、新型コロナウイルス対策の影響で多少の遅れが出る見通しとなっている。