コロナ 知は語る

米政治学者 イアン・ブレマー氏 主導国不在…米中分断が世界の「最大の脅威」

イアン・ブレマー氏=米ニューヨーク
イアン・ブレマー氏=米ニューヨーク

 米国と中国の対立が新型コロナウイルス感染拡大の責任をめぐり一段と激しくなっている。G7を構成する主要先進国が指導力を失い、G20も機能しなくなった「Gゼロ」という国際社会のリスクを警告してきた米国際政治学者のイアン・ブレマー氏は、双方の分断がさらに深まり、世界の「最大の脅威」になると懸念する。

 --新型コロナ危機で世界はどう変わるか

 「グローバリゼーションは減速し、米中の経済圏が分断される『デカップリング』が深まる。分断はすでに先端技術のサプライチェーン(調達・供給網)で進み、今回の危機では医薬品や医療用品を囲い込む動きが目立った。製造・サービス業に今後広がり、(消費地の近くで生産する)ローカリゼーションや(外部委託した業務を自社に戻す)インソーシングも進む。その結果、国や企業の生産性や成長率が低下する」