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欧州で怒り買う中国「戦狼」外交官 三井美奈

中国について報じる仏メディア。「戦狼外交」は大きな波紋を広げている(三井美奈撮影)
中国について報じる仏メディア。「戦狼外交」は大きな波紋を広げている(三井美奈撮影)

 中国の外交官が欧州各地で怒りを買っている。

 新型コロナウイルスの猛威からいち早く抜け出した途端、「中国モデルの優位」を言い出した。イタリアにマスクを支援し、「中国に感謝せよ」と宣伝圧力をかけた。当初は歓迎したイタリアも、「いくらなんでも異常ではないか」と警戒を強めている。

 とりわけ、フランスで中国の盧沙野大使が放つツイッター発言はすさまじい。

 西欧の感染拡大は「個人主義とエゴイズム」のせいと決めつけ、「政治家は国民をウイルス地獄に放置した」と記した。あまりの暴言に、ルドリアン仏外相は4月、直接抗議した。それでも、大使は懲りずに発信を続ける。欧州連合(EU)は、コロナ禍で広がる陰謀論や偽ニュース発信の背景に「中国政府がいる」と報告書に記した。

 対欧関係をこんなに悪化させてまで、外交官が「中国の優位」を示そうとするのはなぜなのか。