中国軍事情勢

初の強襲揚陸艦火災で見えた上陸侵攻能力の急ピッチ増強

中国軍初の強襲揚陸艦「075型」の進水式=2019年9月25日、上海(新華社=共同)
中国軍初の強襲揚陸艦「075型」の進水式=2019年9月25日、上海(新華社=共同)

 中国・上海の造船所で4月11日、艤装(ぎそう)中の075型強襲揚陸艦で火災が発生した。全通甲板を持つ中国初の強襲揚陸艦として昨年9月に進水していた。被害の程度は不明で、今年中とみられていた就役が遅れるとの見方もあるが、その一方で、2隻目の075型艦が同じ造船所で4月22日に進水したことが判明。中国海軍が、上陸作戦に必要な揚陸艦隊の整備を急いでいることが図らずも浮き彫りになった。(前台北支局長 田中靖人)

ヘリ運用能力を増強

 075型は、以前は081型としていた資料も多い。多目的強襲揚陸艦(LHD)に分類され、NATOコードはYushen級、漢字では玉申級と表記される。米議会調査局の昨年12月の報告書によると、排水量は3万~4万トンとみられ、米海軍のワスプ級(4万1000トン前後)と比較される。

 ヘリ空母のような全通甲板を持ち、米外交専門誌「ディプロマット」(電子版)の昨年7月の記事によると、搭載可能なヘリは最多で30機。また、艦内のドックに726A型のエアクッション揚陸艇(LCAC)2隻を登載できる。

 前型の071型(Yuzhao=玉昭級、中国では崑崙山級)は排水量約2万トンのドック式揚陸艦(LPD)で、LCACを4隻搭載する代わりにヘリ甲板は艦の後部にしかなく、登載可能なヘリは4機だった。075型はヘリの運用能力が大幅に増すことになる。全通甲板を採用したことで、将来は米海兵隊のF35Bのような短距離離陸垂直着陸(STOVL)機の運用も想定しているとみられる。

 台湾の海軍司令部が刊行する「海軍学術」の18年2月の論文は、071型に戦車15~20両、兵員約800人が搭乗できるのに対し、075型は戦車30~40両、兵員1000人以上を搭載できると推定している。075型の登場で、中国軍の上陸作戦は、これまでの平面的な方式から3次元の立体的な作戦への転換が進むとみられる。

揚陸艦隊を急整備

 能力に加えて、建造速度も注目される。

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