湯浅博の世界読解

米欧「中国離れ」に戦略的好機

中国の習近平国家主席(右)と米国のトランプ大統領(ロイター)
中国の習近平国家主席(右)と米国のトランプ大統領(ロイター)

 かの中国のテレビは、共産党にとって都合の悪い映像が流れると、決まって画面が真っ暗になるのはご承知のとおり。最近は愛くるしいパンダの姿が流れても通信障害が起きて、北京駐在のエコノミストが「ン?なぜパンダ」と首をひねった。どうやら中国語でパンダを意味する大熊猫の「熊」に、最新のAI(人工知能)が反応してしまうらしい。

 習近平国家主席がディズニーの「くまのプーさん」に似ているとネット上で話題になり、以来、熊はご法度になった。プーさんが抱える蜂蜜入りの壺が、権力を象徴する風刺として忌避され、いまはパンダにまで害が及んだ。

 ちなみに、2014年の日中首脳会談の際に「プーさん」と握手する安倍晋三首相はプーさんの仲間のロバ「イーヨー」にそっくりだとか。垂れ目が特徴の気弱なロバで、日本では北京を皮肉って「イーヨーも消されるかな」と書き込まれた。この春、習主席が国賓で来日していたら、むしろイーヨーがプーさんに「ようこそ自由の国へ」と頓知を利かせたかもしれない。