コロナ 国を守れるか

米空母不在 あぶり出す現実

 ■艦内感染で離脱、付け入る中国

 太平洋から米空母が消えた-。3月下旬、日本を含むインド太平洋の米同盟・パートナー諸国の安全保障を揺るがす事態が発生した。南シナ海で覇権的な行動を活発化させている中国を牽制(けんせい)するため同海域で作戦行動中だった米海軍の原子力空母セオドア・ルーズベルトの艦内で、新型コロナウイルス感染が起きていたことが判明したのだ。

 同艦は作戦を中止し、27日に米領グアムに緊急入港した。その時点で確認されていた感染者数は36人。その後も感染者は増え続け、乗組員1人が死亡。最終的に総員約4800人の約4分の1にあたる約1200人の感染が確認されるに至った。

がら空きの太平洋

 問題なのは、乗組員の大半が上陸してウイルス検査と隔離措置を受けた結果、同艦は5月20日までの55日間、グアムにくぎ付けになってしまったことだ。