一国二制度の死 香港大規模デモから1年

(5)経済力低下 切り捨てる中国

 【北京=西見由章】北京在住の政治研究者、劉英(仮名)=(49)=は昨年8月、雨の香港・ビクトリア公園にいた。香港から中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する市民らと一緒にデモ行進したのだ。「香港人民の本当の考えが知りたくて」現地を訪れたという。

 劉自身も大学1年生だった1989年、中国の民主化要求デモに参加した。北京の天安門広場を拠点とするデモ隊は6月4日に武力で鎮圧され、劉も3カ月間拘束された。あの天安門事件当時、英国から中国への返還(97年)を控えた香港の市民が資金や物資面で北京の学生を援助し、指名手配者の海外逃亡も支援したことが思い出される。

 両者を結びつけたのは中国民主化への思いだ。だが今、香港の若者は共産党一党独裁を維持したまま香港をのみ込もうとする中国に強い拒絶感を抱く。

 「(香港の民主化を求めた)2014年の雨傘運動まで、香港独立を唱える勢力は非主流派だった。北京が圧力を強めた結果、香港の中産階級は徐々に独立という選択肢を受け入れるようになった」。逃亡犯条例改正案に反対する100万人規模のデモが香港で起きてから9日で1年となる中、劉は、中国の習近平指導部による統制強化が結果的に香港独立派の伸長を招いたと指摘する。

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