中国軍事情勢

台湾への大型魚雷売却が象徴する米国の政策転換

台湾の南部・高雄市の左営海軍基地に停泊するズバールトフィス級(手前)とガピー級の潜水艦=2017年3月(田中靖人撮影)
台湾の南部・高雄市の左営海軍基地に停泊するズバールトフィス級(手前)とガピー級の潜水艦=2017年3月(田中靖人撮影)

 トランプ米政権が5月、台湾の蔡英文総統の2期目就任式に合わせ、台湾が自主建造する潜水艦向けに大型誘導魚雷MK48の売却を発表した。米側の決定は、米中対立が深まる最近の情勢からみても一歩踏み込んだものだが、過去の経緯を振り返ると、台湾側の苦心と、米国側の大幅な方針転換の軌跡が浮かび上がる。同時に、転換の要因となった中国の軍事力の台頭も強く印象付けた。(前台北支局長 田中靖人)

攻撃力が大幅に向上

 米国が5月20日の総統就任式直後に魚雷18発の売却を発表した際、大きく報じた海外メディアは皆無だった。2017年6月にも、同型の魚雷の売却を発表していたためとみられる。

 米国が台湾に売却するのは17、20年決定分ともに、MK48の能力向上型のうち「Mod6AT(Modは改良、ATは先進技術の略)」と呼ばれるタイプだ。台湾のネットメディア「上報」によると、この型は非NATO(北大西洋条約機構)諸国向け。米国はNATO加盟国であるカナダ、オランダにはさらに能力が高いMod7型を供与し、自国でも使用している。米国は近年、F16戦闘機やAH64攻撃ヘリ・アパッチでは台湾に最新型を供与しており、機密性が高く攻撃力の高い潜水艦の分野では供与する兵器の等級を下げる米国の冷徹さもうかがえる。

 それでも、台湾の中央通信社などによると、売却が決まったMK48の最大射程は約50キロ、終末段階の時速は100キロに達する。弾頭重量は約300キロで、米軍が過去に行った演習では、排水量1・8万トンの揚陸艦などの標的を1発で撃沈している。

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