久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

南北融和20年をゼロに、金与正氏が韓国に仕掛ける「二択の罠」

共同宣言に署名する(左2人目から)北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長、韓国の文在寅大統領。左端は金与正党第1副部長=2018年4月27日、板門店の韓国側施設「平和の家」(韓国共同写真記者団撮影)
共同宣言に署名する(左2人目から)北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長、韓国の文在寅大統領。左端は金与正党第1副部長=2018年4月27日、板門店の韓国側施設「平和の家」(韓国共同写真記者団撮影)

 北朝鮮が、開城(ケソン)にある南北共同連絡事務所を予告通り破壊し、金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の指導のもとでさらに挑発の度合いを強めている。次は開城工業団地と金剛山(クムガンサン)観光開発地区に軍を配備する方針だという。過去20年の「南北融和」の遺産をことごとく踏みにじる計画を韓国に突き付け、文在寅(ムン・ジェイン)大統領のメンツを潰して追い詰めている形だ。脱北者の対北ビラをきっかけに急速に韓国に詰め寄り、緊張を高めてきた北朝鮮。なぜ、いまなのか。軍事行動は取るのか。そして、狙いはどこにあるのか-。

米国をにらんだ緊張醸成

 北朝鮮の挑発の理由は複数、指摘されているが、最大要因は対米戦略とみられている。

 トランプ米政権は11月に大統領選を控えているうえ、新型コロナウイルス対策や人種差別問題への抗議デモなど国内問題で対北政策に全く興味を失っている。そうしたなかで、(1)朝鮮半島に緊張感を醸成し、存在感を取り戻す(2)韓国に圧力をかけ米韓関係を離反させる(3)戦争ムードで国内を引き締める-などを企図しているとの見方だ。

 そのタイミングとして選ばれたのが、2000年に行われた初の南北首脳会談で北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と韓国の金大中(キム・デジュン)大統領=いずれも当時=が南北共同宣言を発表して20年の節目となる6月15日から、朝鮮戦争(1950~53年)の勃発70年にあたる6月25日の期間。つまり、いまなのである。

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