矢板明夫の中国点描

台湾は中国の浸透工作にどこまで対抗できるか

1月11日、台湾総統選で再選を果たし、台北市での記者会見で勝利宣言する民進党の蔡英文総統(左から2人目)(共同)
1月11日、台湾総統選で再選を果たし、台北市での記者会見で勝利宣言する民進党の蔡英文総統(左から2人目)(共同)

 「諸活動をスムーズに行うため、貴市の台湾弁公室から50万人民元(約760万円)の支援をいただきたいと存じます」

 6月中旬、台北地検に選挙法違反などの容疑で起訴された台湾人の男性企業家が、中国湖南省長沙市の対台湾工作部門に送った手紙の一部を台湾メディアが報じた。1990年代に中国に渡り、湖南省で複数の美容室を経営するこの企業家は、長沙市在住の台湾人組織のトップを務めている。

 今年1月に行われた台湾の総統選挙前に、中国当局者から野党、中国国民党の公認候補、韓国瑜氏のために票をまとめるように依頼され、長沙市在住の台湾人約500人を集めて盛大な支援パーティーを開催した。韓氏は親中派とされる。

 参加者に食事と宿泊を無料で提供したほか、景品抽選会も行い、多くの豪華なプレゼントを配った。登壇した複数のゲストがスピーチで何度も韓氏への投票を依頼した。その後、約200人の参加者に対し、台湾の投票日前後に一時帰郷するための往復航空券を提供した。一連の活動に使った費用は約150万人民元(約2270万円)。湖南省と長沙市の台湾弁公室などが支払ったという。中国当局が台湾の総統選に介入した具体例といえる。

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