中国vs.米国そして日本 コロナの次に来る自由と民主主義の危機 中西輝政 

中国の習近平国家主席(左)と米国のトランプ大統領=2017年11月、中国・北京(共同)
中国の習近平国家主席(左)と米国のトランプ大統領=2017年11月、中国・北京(共同)

 新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)を機に、変化し始めていた世界秩序は今、劇的な転換のプロセスに入った。歴史はまさに21世紀最大の危機を迎えようとしている。より正確に言えば、2020年という年は、すでに何年も前から始まっていた世界秩序の大変動の流れをコロナ禍によって一気に加速し、奔流となって滝壺(たきつぼ)に向かおうとするリスクを浮上させているのである。

京都大名誉教授の中西輝政氏(酒巻俊介撮影)
京都大名誉教授の中西輝政氏(酒巻俊介撮影)

 「戦争と革命の世紀」と言われる20世紀で、最大の危機の時代は1940年代であった。40年代は第2次世界大戦が激化し膨大な人命が失われ、自由と民主主義、人権と法の支配によって支えられてきた国際秩序が、ドイツのナチズム、ソ連の共産主義という二つの全体主義の挑戦を同時に受けた時代だった。

 21世紀のコロナ危機は感染症がもたらした公衆衛生上の危機ではあるが、その衝撃によって、わたしたちはいま、国際政治上のかつてない深刻な危機、さらに言えば再び自由と民主主義の存続が問われる歴史的危機の時代に遭遇しているのである。

 その最大の焦点は、いうまでもなく米中対立の激化である。