国安法、台湾でも懸念、「香港渡航控えて」当局が呼びかけ

国安法の施行翌日、警察に押さえ込まれ、拘束される男性=1日、香港(ゲッティ=共同)
国安法の施行翌日、警察に押さえ込まれ、拘束される男性=1日、香港(ゲッティ=共同)

 【台北=矢板明夫】中国が施行した香港国家安全維持法(国安法)の「国家分裂罪」などをめぐり、台湾で懸念が広がっている。「台湾独立を主張したことのある台湾人が香港に行けば逮捕されるのではないか」との不安からだ。台湾当局で対中国政策を所管する大陸委員会は、「不要不急の香港渡航を控えてほしい」と呼びかけ始めた。

 この国安法では「国家分裂」「国家政権転覆」「テロ活動」「海外勢力と結託して国家安全に危害を加える」の4つの罪で、最高刑「終身刑」を定めた。

 しかし、具体的な犯罪内容に関する説明があいまいで、どこまで拡大解釈されるのかなど、台湾社会に疑心暗鬼が広がっている。

 中国当局はこれまで、台湾独立に関する言動を「国家分裂行為」と見なしてきた。このため「この法律で台湾人への締め付けを強化する恐れがある」と話す台湾の政治関係者もいる。

 国安法の第38条に「香港永住権を有しない者が香港以外の場所で本法律の定めた犯罪行為をした場合、本法律が適用される」との一文がある。すなわち、香港人以外も海外での言動で罪に問われる恐れがある。