ロシアでプーチン大統領の終身独裁に道を開く憲法改正が成立した。この改憲は、プーチン氏の大統領任期に関する条項を事実上伏せて国民投票にかけるなど、インチキ同然に行われた。いずれかの時点で国民の反発が起き、内政は流動化するだろう。だが、少なくとも当面はプーチン流の強硬な対外政策が続くことを警戒せねばならない。ロシアが特殊部隊や民兵、サイバー攻撃や情報宣伝などを使った「ハイブリッド戦争」(複合型戦争)で国際政治を攪乱(かくらん)することも然りである。
(外信部編集委員兼論説委員 遠藤良介)
■香港に登記、若者雇う
近年のロシアのハイブリッド戦では、プーチン氏に近い実業家、プリゴジン氏が率いる民間軍事会社(PMC)の「ワグナー」が暗躍している。ワグナーはウクライナ東部紛争やシリア内戦に続き、北アフリカのリビア内戦にロシア人雇い兵を送り込んでいる。
プリゴジン氏は外食産業分野でプーチン氏との関係を築いたことから「プーチンのコック」の異名をとる。巨額の公共事業を受注する見返りに、正規軍が表立って活動しづらい場所にワグナーを投入してきた。