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“正義”の国の不思議 黒田勝弘

16日、ソウルの韓国国会で演説する文在寅大統領(共同)
16日、ソウルの韓国国会で演説する文在寅大統領(共同)

 韓国で1980年代から90年代にかけ、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)両政権の与党「民正党」の正式名称は「民主正義党」だった。地域ぐるみの反政府・民主化闘争を武力鎮圧した光州事件など誕生に際し無理があったせいか、政権のイメージとして「正義」を強調して国民の支持を得ようとしたのだ。

 この党は後になくなったが、現在は逆に左翼・革新政党に「正義党」というのがあって、少数ながら国会に議席を持っている。

 最近、慰安婦問題で寄付金の行方や運営のありかたをめぐって疑惑が噴出している支援団体は「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」と称し、略称「正義連」といっている。「記憶連」ではなく、自ら「正義連」というところがどこか上から目線で、自信満々な感じがする。

 3年前にスタートとした文在寅(ムン・ジェイン)政権は、朴槿恵(パク・クネ)前政権をいわゆる“ロウソク・デモ”で打倒し、“ロウソク革命”と称して「公正・平等・正義」を看板に掲げてきた。政権を握った後、過去の朴前大統領および李明博(イ・ミョンバク)元大統領を逮捕・投獄したのは、われわれこそが「公正・平等・正義」を実現するのだという意気込みからだった。

 筆者の記憶では40年前の軍人政権下の「民主正義党」なる名称に関し、世論にことさら違和感はなかったように思う。現在の左翼系の慰安婦支援団体「正義連」についても、革新政権の文政権の「公正・平等・正義」もそうだ。政治的に保守も革新もみんな「正義」が大好きで、人びとはその看板に納得なのだ。

 

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