矢板明夫の中国点描

米中対決の舞台となった南シナ海

米原子力空母ロナルド・レーガンの艦上で、FA18戦闘攻撃機の飛行前点検を行う兵士=6月30日、フィリピン海(米国防総省提供・共同)
米原子力空母ロナルド・レーガンの艦上で、FA18戦闘攻撃機の飛行前点検を行う兵士=6月30日、フィリピン海(米国防総省提供・共同)

「米国政府は中国に完全に見下されている」。そう感じたのは2016年夏のことだった。当時、筆者は北京特派員として、「南シナ海における中国の主張や行動は国連海洋法条約違反」とフィリピンが求めた仲裁手続きを取材していた。

 オランダ・ハーグの仲裁裁判所が判断を示す直前、中国政府の元外交担当トップ、戴秉国(たい・へいこく)氏が訪米し、首都ワシントンで講演した。「司法判断なんて、ただの紙くずだ」と言い捨てたうえで「米国が10の空母打撃群を全部、南シナ海に派遣したとしても、われわれは恐れない」とも語り、南シナ海問題で中国は全く譲歩しないことを表明した。

 その約1週間後、仲裁裁判所は、南シナ海を勢力範囲とする中国の「九段線」論を否定する裁定を下したが、中国は完全に無視した。南シナ海の人工島で軍事施設を建設し続けた。

 当時のオバマ米政権は、安全保障や外交の重点をアジア太平洋地域に置く「アジア・リバランス(再均衡)」政策を掲げていたが、「法の支配」を無視した中国の動きに対し、ほとんど有効な対策を取らずに静観していた。

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