潜入17年

(上)米国人スパイの数奇な運命 トランプ氏「あなたは英雄」

北朝鮮最高裁の法廷に向かう韓国系米国人ドンチョル・キム氏=29日、平壌(共同)
北朝鮮最高裁の法廷に向かう韓国系米国人ドンチョル・キム氏=29日、平壌(共同)

 2015年10月、北朝鮮北東部の経済特区、羅先(ラソン)市の庁舎に車で向かっていた米国人、ドンチョル・キムの前に意外な人物が立ちふさがった。北朝鮮の秘密情報の収集を助けてくれてきた協力者だ。この場にいるはずのない人物。「会長がお望みだった資料ですよ」。協力者は助手席に封筒を投げ込むと、キムがこれからたどる運命を知っていたのか、ひきつった笑みを浮かべて立ち去った。

 神学博士のキムが01年に北朝鮮入りしたのは本来、布教が目的だった。体制に取り入ろうと、ホテルを建てたり、中国から投資を集めたりした功績が認められ、市の海外投資誘致委員長などの要職も任された。中国朝鮮族の妻が北朝鮮体制の重鎮の親族だった点も大きく作用した。米国籍でありながらホテルを経営する「会長」としても確固たる名声を手にしたが、その瓦解(がかい)は一瞬にして訪れた。

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