
【北京=西見由章】中国は近年、米露が核軍縮を進めるのとは対照的に核戦力の増強に力を入れてきた。にもかかわらず、国内ではさらに飛躍的な核増強を求める声が上がっている。背景には、米露による中距離核戦力(INF)全廃条約の失効で、条約の蚊帳の外にいた中国が制約を受けずに築いた中距離弾道ミサイル開発での優位性が失われかねないという事情がある。米国との軍事的緊張の高まりも、核戦力増強熱を上げさせている。
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所によると、今年1月時点で中国の核弾頭保有数は前年比30発増の推定320発。米国の5800発などと比べると著しい差があり、これまで自ら先制不使用を宣言することで両国に核軍縮を求める方針をとってきた。
トランプ米政権 「核戦争リスクの低減」に向け米中露の核軍縮枠組み目指す