国際情勢分析

米国入国時にみえた「新型コロナ感染急拡大の理由」

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く米国で累計の感染者が500万人を超えた。累計の死者も16万人に達し、いずれも世界最悪だ。対応の遅れは、経済社会活動の停滞に直結し、やがて国力の低下を招く。自由や民主主義を侵害する中国の挑戦を退ける覇権争いでも中長期的に不利に働くだろう。米国はコロナ禍を克服できるのか。出張先の米国から報告する。(外信部 平田雄介)

水際対策の緩さ

 「世界一の大国」とされる米国で感染の急拡大を止められないのはなぜか、渡航前から疑問だった。

 8月2日の到着後、最初に気づいたのが“水際対策”の緩さだ。西部ロサンゼルス国際空港での入国審査では感染の有無を確認する抗原検査がなかった。そのまま首都ワシントン(コロンビア特別区)行きの飛行機に乗り継ぎ、滞在先の宿泊施設へ。この間、係員からの「公共交通機関の利用は控えて」とか「14日間の自主隔離を」といった声かけはなかった。