韓国はメンツ保つも…バルブ課税撤廃で際立った不誠実な対応 

 韓国政府が日本製産業用バルブへの反ダンピング課税を撤廃した。日本にとっては、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きにのっとり、自国の産業界のために不透明な貿易障壁を取り除くことができた形だ。だが、韓国はWTOの是正勧告で示された期限を超えて課税を続け、日本側の5年間の関税負担は約20億円に上る。韓国側の不誠実な対応が際立っただけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に世界で広がる保護主義的な措置への対応の難しさが改めて浮き彫りにされた。(高橋寛次、ソウル 名村隆寛)

 昨年9月に日本の“勝訴”が決まり、是正につながったが、曲折もあった。日本政府関係者は「一時は、対抗措置を検討した」と打ち明ける。WTOの是正勧告に従い、履行期限である今年5月30日までに課税措置を撤廃することを繰り返し主張したが、韓国側が変則的な対応をしたためだ。