宮家邦彦のWorld Watch

戦略的だった「安倍外交」

昨年6月、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で行われた女性活躍推進のイベントに出席し、会話を交わす安倍晋三首相(左)とトランプ米大統領。中央はイバンカ大統領補佐官=大阪市
昨年6月、大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で行われた女性活躍推進のイベントに出席し、会話を交わす安倍晋三首相(左)とトランプ米大統領。中央はイバンカ大統領補佐官=大阪市

 安倍晋三首相辞任の第一報はテレビ番組のリモート出演中に飛び込んできた。番組内容は変更され、早速内外の記者・友人から質問や謝辞が届き始めた。もしやの覚悟はあったが、「日本外交の一時代の終わり」との喪失感は否めない。第二次大戦後、これほどわが国の外交が影響力を持ち、信頼され、かつ尊敬された8年間は思い付かない。米国の安全保障問題の大御所からも「アベ首相は米国の偉大な友、称賛に値する」とのメールが届いた。お世辞など言わない男からの賛辞を筆者は額面通り受け取った。こんな時代は当分来ないだろう。

 日本国内での安倍外交の評価は功罪相半ば。「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交や積極的平和主義を掲げ、民主党政権下で悪化した日米同盟を深化させた。一方、ロシアや北朝鮮など近隣諸国との懸案は解決せず、課題は残った」といったおざなりの総括が一般的だ。