李登輝氏が10年前、安倍首相に助言した「改憲」 河崎真澄

台北郊外の自宅を訪ねてきた安倍晋三氏(右)と玄関前で握手する台湾元総統の李登輝氏=2010年10月31日(李登輝基金会提供)
台北郊外の自宅を訪ねてきた安倍晋三氏(右)と玄関前で握手する台湾元総統の李登輝氏=2010年10月31日(李登輝基金会提供)

 「もう一度、首相になりなさい。いま、あなたのほかにリーダーはいない」

 2010年10月31日のこと。台湾の元総統、李登輝氏(当時87歳)は台北郊外の自宅を訪ねてきた安倍晋三氏(同56歳)に、こう畳みかけたという。その3年前、体調が悪化して辞任した安倍首相。羽田空港と台北市内の松山空港を結ぶ定期便就航の記念式典出席のため、国会議員の一人として訪台していた。

 李氏訪問の日程は当初組まれていなかったが、安倍首相は台北到着後に独自に約束を取り付け、タクシーでかけつけた。李氏本人と複数の関係者が明かした。

日本の安保「独自の抑止力必要」

 安倍首相は衆院選で初当選した翌年の1994年9月に自民党青年局の一員として訪台し、現職の総統だった李氏に会っている。