久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

文政権が固執する「終戦宣言」 狙いは在韓米軍撤退

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が9月下旬、国連総会の一般討論演説で、休戦状態にある朝鮮戦争(1950~53年)の「終戦宣言」を提案し、国際社会から冷ややかな反応を受けている。休戦協定の当事国である米国に予告せず、しかもその内容は、北朝鮮の非核化に先駆けて終戦を宣言することが「朝鮮半島の恒久的な平和体制」につながるとする現実離れしたもの。文政権はなぜ空想的ともいえる終戦宣言に固執し、この時期に前面に打ち出したのか-。

米と事前調整せず

 文氏の一般討論演説は今回で4回目だ。

 2018年の演説では、「非核化に向けた果敢な措置が終戦宣言につながることを期待」すると述べた。これは、トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が同年6月、シンガポールで初の首脳会談を行ったのを受けてのものだ。米朝の非核化協議が進展するとの期待が強まる中で、非核化を終戦宣言の前提に位置付けた。

 翌19年の演説は、南北軍事境界線沿いの非武装地帯を「国際平和地帯」化するとの構想が目玉だった。この年の2月にベトナムの首都ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談が物別れに終わり、非核化協議が停滞に向かう中、平和ムードの演出を強調した。

 ところが今年は、「終戦宣言こそが朝鮮半島の非核化とともに恒久的な平和体制への道」だとし、非核化に先立って終戦宣言を追求する考えを押し出した。

 米国は現在も、非核化が最優先との立場を変えていない。にもかかわらず文政権は、「演説文案を米国と事前調整することはしなかった」(韓国外務省)。つまり文氏の提案は、米韓関係を無視する形で行われたものだったわけだ。

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