湯浅博の世界読解

ノーベル賞に中国「懲罰外交」の影

 期待値の高い予想や予告が実現しないと、それだけ失望感が深まるのは世の常である。だが、今回の予想ばかりは、中国による「懲罰外交」の圧力によって、実現は怪しいものだと考えていた。

 ノーベル平和賞の授与が期待された香港の民主活動家や、中国で投獄されたウイグル族の学者が、有力候補に挙げられながら見送られた一件である。ノルウェーのノーベル賞委員会が平和賞を授与したのは、誰も反対する者がない世界食糧計画(WFP)という国際機関であった。そこに、中国の影はなかったか。