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劣勢挽回へ「原点回帰」 トランプ政権、大統領選控え移民政策厳格化

 トランプ米政権がビザ発給で新たな規制を導入するなど、移民政策で厳しい対応を加速させている。11月の大統領選で劣勢を強いられる中、トランプ政権誕生の原動力ともなった移民問題をクローズアップさせ、支持者らの結束を図りたい思惑が透けて見える。(ワシントン 住井亨介)

「専門学位」がハードルに

 トランプ政権は6日、主にIT技術者ら特殊技能を持つ人らが利用する「H-1B」ビザの発給条件を厳しくすると発表した。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、厳格化により、「H-1B」ビザの申請者は、就業する分野に関する大学の専門学位が求められることになる。

 IT関連の企業では、コンピューター・サイエンスや数学、芸術などさまざまな分野が融合され、業務が行われるのが通例だ。ひと口にIT専門家といっても、大学では就職後の仕事とは関係のない分野を専攻して学位を取得しているケースが多く、採用する企業にとっては新規制は大きなハードルとなる。

 また、政権が発表した措置には、賃金の引き上げの義務付けも盛り込まれた。