国際情勢分析

アジアで始まった核軍拡競争 中国の軍備増強に米国も有効策なし

6日、東京で開かれた日米豪印の外相会合に参加するポンペオ米国務長官(右)ら=東京都港区(AP)
6日、東京で開かれた日米豪印の外相会合に参加するポンペオ米国務長官(右)ら=東京都港区(AP)

 トランプ米政権が中国を巻き込んだ核軍縮の新たな枠組みの構築を目指す中、米政府高官は中国の軍備増強によってアジアでの軍拡競争はすでに始まっていると断言する。中国の習近平総書記(国家主席)率いる共産党政権は、国際社会が求めた自制を無視して南シナ海を軍事拠点化するなど、その横暴さは増長を続け、圧倒的な軍事力を誇ってきた米国も中国の軍備増強を抑える有効策を持っていない。(外信部 坂本一之)

 「中国が米国やロシアと同レベルの核兵器を整備するまで核軍縮の交渉を待っていたら、世界は非常に危険になる」

 米政府で軍縮交渉を担うビリングスリー大統領特使は9月末、東京で行ったオンライン記者会見で、こう語気を強めた。

 中国の軍拡は「共産党と習総書記」によるものだと名指しし、米国が呼びかける核軍縮協議に応じない中国を厳しく批判。核拡散防止条約(NPT)で締約国が約束する核軍縮交渉の「法的義務を果たしていない」と指弾した。

 中国の覇権拡大を警戒するトランプ政権は昨年、米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄や、来年2月に期限が切れる新戦略兵器削減条約(新START)の延長問題に合わせ、中国を含めた核軍縮の枠組みを構築する方針を打ち出した。

 しかし、将来的に米国を上回る軍事力を保持しようとする中国は、米国との協議を拒否。対話のテーブルに姿すら見せない。