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香港人に支援の手を 中国に拷問受け亡命の青年、続く闘い

取材に応じるサイモン・チェンさん=ロンドン(板東和正撮影)
取材に応じるサイモン・チェンさん=ロンドン(板東和正撮影)

 中国による香港国家安全維持法(国安法)が施行された香港で海外への政治亡命を求める市民が急増している。旧宗主国の英国では、英政府に亡命を認められた香港英国総領事館の元職員が亡命希望者を支援する取り組みを始めた。中国で拷問された辛い過去を乗り越え、香港の現状に絶望して移住を求める若者に手を差し伸べようとしている。(ロンドン 板東和正)

普通の青年

 「君はゲームは好きかい? 僕は(米マイクロソフトの家庭用ゲーム機)『Xbox(エックスボックス)』が好きだね。今、同棲(どうせい)している彼女と休日によくするんだ…」

 10月上旬。小雨の降る中、ロンドン市内で会った丸眼鏡をかけた青年はそう言って笑った。

 彼の名前は、サイモン・チェンさん(29)。在香港英国総領事館の元職員で、昨年中国で身柄を一時拘束された経験を持つ。自身の身を守るために渡英し、今年6月に英国政府に政治亡命が認められた。今はロンドンで暮らしている。

 初めて会ったチェンさんは終始、笑顔を絶やさず、自分の趣味や、渡英後にできた恋人の話をしてくれた。それだけに、彼が語る中国で拘束された体験の恐ろしさが際立った。