前回お約束した通り、今回はバイデン次期政権に対し日本がとるべき施策について書こう。とは言っても、現時点では推測以上の話はできそうもない。何しろ通常ならとっくに本格化しているはずの「政権移行」が遅れているからだ。この遅れが致命傷にならないことを祈りつつ、日本が考えるべきことは何か。まずは怖い話から始めよう。
(1)根本から見直す米内政
普通の評論家ならまずは米国の対アジア、特に対中政策を考えるのだろうが、筆者は違う。今の米国はリーマン・ショックの犠牲となった白人労働者層とコロナ禍・人種差別の犠牲となった非白人層の怒りに満ちており、内政が劣化していると前回書いた。トランプ政権の最後の悪足掻(わるあが)きには閉口するが、それを上から目線で罵倒し続けるワシントンの民主党系識者も信頼できない。一方、日本にも盲目的トランプ礼賛者が出現する始末。われわれは米内政の現実が見えなくなっているのではないか。今後「アメリカ合衆国」は復活するのか、それとも衰退するのか。まず最初にこの趨勢(すうせい)を冷静かつ客観的に分析する必要がある。