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露、スーダンに海軍拠点 紅海からインド洋で米に対抗

 ロシアが、海上交通の大動脈であるスエズ運河以南の海域に進出を図っている。11月に、アフリカ北東部スーダンの紅海沿岸に露海軍の修理・補給拠点を設置することを定めた同国との合意文書の草案を公表した。近く正式合意する見通しで、実現すれば、ロシアがアフリカに海軍拠点を持つのは23年ぶり。米中や日本が拠点を持つジブチを含むアフリカ東部の要衝地域(通称「アフリカの角」)ののど元を押さえ、この海域や中東アフリカでの存在感を高める狙いがあるとみられる。(モスクワ 小野田雄一)

「次の段階」に進んだ軍事協力

 拠点は、スーダン最大の海港都市ポートスーダン周辺に設置される見通しだ。

 露政府が11月11日に公表した草案によると、スーダン側はこの拠点に原子力動力艦を含む最大4隻の露軍艦の係留を認めるほか、ロシア側の維持要員ら最大300人の滞在も許可する。用地はスーダン側が無償供与する一方、施設建設や軍艦の修理などはロシアが自ら実施。ロシアは拠点周辺への防空システムの配備をはじめ、スーダン側に軍事支援を提供する。合意は25年間有効とし、双方が同意すれば10年間の延長を認めるという。

 イタル・タス通信によると、ロシアとスーダンの間では2017年、スーダンのバシル大統領(当時)がモスクワを訪れてプーチン露大統領と会談し、スーダン軍の近代化にロシアが協力することで合意。19年には7年間の軍事協力を定めた協定が発効した。今回は、こうした協力関係が「次の段階」に進みつつあることを示した格好だ。