知論考論

コロナ強硬策の中国、次の一手は「周庭氏釈放のカード切る」

5月30日、香港でインタビューに答える周庭氏(藤本欣也撮影)
5月30日、香港でインタビューに答える周庭氏(藤本欣也撮影)

 世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。感染による最初の発症例が昨年12月8日に中国中部の湖北省武漢市で中国当局によって確認されてから、1年余りがたった。ウイルスの発生源となった中国は、外交や内政でどんな政策をとってきたのか。また、今後はどこへ向かうのか。関西学院大の井上一郎教授と立命館大の上久保誠人教授に聞いた。

マスク、ワクチン外交の習体制、強硬姿勢明確に 井上一郎氏

 最近の中国の強硬な外交姿勢は西側メディアに「戦狼外交」と表現されるが、中国が新型コロナウイルスの感染拡大に乗じて強硬になったわけではなく、すでにこれまで見られた習近平体制の強硬な対外姿勢の輪郭が、コロナ禍を通してより明確化したと考えるべきだろう。

 たとえば米軍が武漢にコロナウイルスを持ち込んだと示唆した外務省報道官、趙立堅氏の言動がある。米中対立が背景にあるにしても、従来の外交官がしない類の慎重さを欠いた発言であり実際、崔天凱駐米大使はこうした言動に否定的であったと伝えられる。趙氏ら外交官に目立ってきた強硬発言からは、米国の圧力下でのナショナリズムの高まりや、政策の実施機関である外務省における中国共産党の影響力増大が垣間見える。非合理的で対外イメージを損なうような言葉でも、発言した本人は組織内で恩恵を受け、これを国内世論が支持する状況が生まれている。