解読

トランプ氏が残した負の遺産 対中政策、日米連携の障害にも ワシントン支局長・黒瀬悦成

 波乱に満ちた今年の米大統領選は14日、大統領選挙人による投票を受けて民主党のバイデン前副大統領の当選が実質的に確定した。しかし、敗れた共和党のトランプ大統領は「選挙はまだ終わっていない」として抗戦の構えを崩しておらず、今後の米政治に深刻な影を落とす恐れがある。

「不正」見つからず

 バイデン氏は、来年1月6日に上下両院合同会議で行われる選挙人投票の開票結果の確定を経て大統領に就任する。続く20日に連邦議会議事堂前で行われる就任宣誓式までによほどの波乱が起きない限り、選挙結果が覆る見通しはない。

 しかし、トランプ氏および同氏の陣営が大統領選で「投票や集計で大規模な不正があった」と主張し続けるのに呼応し、トランプ支持勢力の大半は「バイデン氏は不正により勝った」と今も信じ込んでいる。

 FOXニュースが12月6~9日に実施した世論調査では、共和党支持者の68%、トランプ氏に投票した有権者の77%が「選挙(の勝利)がトランプ氏から盗み取られた」と答えた。トランプ氏の言説が支持者らの間に強力に浸透しているのは明らかだ。