久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

執権10年目、袋小路の金正恩体制 与正氏昇格の有無にも注目

 北朝鮮で5年ぶりとなった朝鮮労働党第8回党大会で、金正恩(キム・ジョンウン)委員長が「国家経済発展5カ年計画」の失敗を認めた上で、新たな方針を示した。正恩氏の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏が政治局員に昇格するかにも注目が集まるなか、対外政策については「全面的に発展させる」とするだけでバイデン米次期政権への言及はなかった。だが、「国家防衛力を高い水準に強化する」としていることから、核・ミサイル開発での強硬路線が、さらなる制裁と経済の逼迫を招くのは必至。選択の幅が狭まりつつある金正恩体制は、執権10年となる今年、どこに向かうのか。

大型案件すべて失敗

 「掲げた目標をほぼすべての部門で大きく下回った」。5日から開催されている党大会で正恩氏は、経済政策の失敗をこう認めた。そこには、新しい方針を示すことで、求心力を回復させる狙いがある。政権がこれまでに掲げてきた大型プロジェクトはことごとく失敗した上、昨年は新型コロナウイルス禍や台風被災も重なるなど、権力基盤を弱める要素が次々に生じているためだ。