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世界で広がる「変異種パニック」 解明追いつかず

北欧デンマークで、11月に政府による殺処分命令が出された家畜ミンク。ミンクから新型コロナに感染した人に変異種が確認された(AP)
北欧デンマークで、11月に政府による殺処分命令が出された家畜ミンク。ミンクから新型コロナに感染した人に変異種が確認された(AP)

 強い感染力があるとされる新型コロナウイルスの変異種をめぐり、各国が危機感を募らせている。変異種にはワクチンへの影響や重症化リスクが高いのかどうかなど不明な点が多い。科学者らが“脅威の全貌”の解明を急ぐ中、新たな種類の変異種が次々と確認され、世界を混乱させている。(ロンドン 板東和正)

英国の前にも…

 新型コロナの変異種の問題が持ち上がったのは、英国が最初ではない。

 英国で昨年12月に変異種の感染急増が発覚した約1カ月前。北欧デンマークでは、毛皮採取用の家畜ミンクから感染した12人に新型コロナ変異種が確認され、騒動に発展した。

 この事態を受け、同国のフレデリクセン首相は「ワクチンの有効性を変異種が危険にさらす可能性がある」と宣言。新たな感染を防ぐために国内の農場の全てのミンクの殺処分を命じた。同国では人口の約3倍に当たる推定1700万匹のミンクが飼育されていた。

 しかし、全体のうち数百万匹程度が処分された段階になって、殺処分を義務付ける法的根拠がないことが発覚。強制力があると信じ、不本意ながらも殺処分を進めた飼育業者などから抗議が殺到した。政府はその後、命令を撤回して勧告にとどめたが、当時の農相が責任を取り辞任するなど政権は混乱した。フレデリクセン氏は殺処分を行った農家に出向き、涙ながらに謝罪した。