知論考論

拉致解決の処方箋はレジームチェンジしかない

北朝鮮情勢について語る龍谷大の李相哲教授=1月12日、大阪市のホテルニューオオタニ大阪(岩田智雄撮影)
北朝鮮情勢について語る龍谷大の李相哲教授=1月12日、大阪市のホテルニューオオタニ大阪(岩田智雄撮影)

 北朝鮮は1月5~12日、約5年ぶりに朝鮮労働党大会を開き、米国を「最大の主敵」と規定した。14日には軍事パレードを行い、20日に米国で発足するバイデン新政権を牽制(けんせい)した。新たに総書記に就任した金正恩(キム・ジョンウン)氏は「核戦争抑止力の強化」も宣言している。北朝鮮の狙いは何か。バイデン次期米大統領の対北政策はどうなっていくのか。同志社大の村田晃嗣教授と龍谷大の李相哲教授に聞いた。              (聞き手 岩田智雄)

金正恩を死ぬか生きるかの状況に追い込め 李相哲氏

 現在の北朝鮮をみると、発電量は1990年の数字の30%しかない。金正恩氏は昨年10月、年末まで国民を総動員して経済建設などに当たる「80日戦闘」を展開する方針を決めたが、軍需部門の工場をフル稼働させるという意味があった。北朝鮮は軍需産業がかろうじて動いているものの、他の産業はほとんど止まっている。農業部門は昨年、台風と洪水被害で30%ぐらいの減産があった。経済は完全に破綻している。