
2月7日は「北方領土の日」。北方四島(択捉(えとろふ)島、国後(くなしり)島、色丹(しこたん)島、歯舞(はぼまい)群島)は1855年2月7日に調印された日露通好条約で日本領土となって以来、他国に帰属したことは一度もない。だが戦後75年以上たってもロシアの不法占拠が続く。菅義偉首相は北方領土問題について「終止符を打たねばならない」と意欲を示している。ロシアのプーチン政権とどう向き合うべきか識者らに聞いた。
民主主義陣営の連帯強化で譲歩させよ」 国際政治学者 グレンコ・アンドリー氏
日本政府は「北方領土問題を解決して平和条約を締結する」というが、そのアプローチからして根本的に間違っていると思う。北方四島は不法占拠されているのだから、ロシアへの要求事項は「全島の返還」でしかあり得ない。「問題を解決する」などという課題設定では、「日本の4島放棄が解決策だ」といった主張もロシアに許しかねない。
安倍晋三前首相は事実上、色丹島と歯舞群島の2島に絞った交渉を行ったが、プーチン露政権の強硬姿勢に阻まれて失敗した。これはむしろ良かった。2島返還で手を打って平和条約を結べば、国後島と択捉島について協議する機会は完全に失われる。日本人はお人よしなので2島返還ですら親露的世論が生まれ、安全保障面で悪影響が出る恐れすらあっただろう。