台湾日本人物語 統治時代の真実

(24)バルチック艦隊に備えよ

バルチック艦隊と日本海海戦で戦った日本連合艦隊の旗艦「三笠」(記念艦)=昨年5月、日本海海戦115年で(神奈川県横須賀市)
バルチック艦隊と日本海海戦で戦った日本連合艦隊の旗艦「三笠」(記念艦)=昨年5月、日本海海戦115年で(神奈川県横須賀市)

 台湾、朝鮮、満州、樺太(からふと)…。日本が統治、あるいは影響力を保持していた「外地」で鉄道を本格的に整備したのは日本人である。支配を強めてゆく過程で、諸外国が始めた(投げ出したものもあった)事業を日本が受け継ぎ、完成・発展させたケースが多い。

 例えば朝鮮である。19世紀末の大韓帝国時代、曲折を経て京城(現・韓国ソウル)-仁川間の京仁鉄道の敷設権を得た米国人が資金難に陥った。事業を引き継いだのが、渋沢栄一ら日本の実業家である。京城-釜山間の工事も事実上の国策として進められた(後に官営化=朝鮮総督府鉄道局)。日露戦争の足音が近づいており、朝鮮半島内の輸送ルート確保が急がれていたからだ。