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自由貿易は風前のともしび 「内向き」バイデン政権、交渉権限の時間切れ迫る

2月25日、ワシントンの議会上院で開かれた米通商代表部(USTR)代表の指名承認公聴会で、証言するキャサリン・タイ氏(ロイター)
2月25日、ワシントンの議会上院で開かれた米通商代表部(USTR)代表の指名承認公聴会で、証言するキャサリン・タイ氏(ロイター)

 バイデン米政権が「労働者のための外交」を掲げ、市場自由化で経済を底上げする「自由貿易」政策に距離を置いている。新型コロナウイルスの打撃を受けた労働者の保護を優先するためで、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への再加盟など新たな貿易交渉に踏み出す機運は乏しい。米政権が内向き志向を続け、6月末に期限を迎える貿易交渉権限を更新しなければ、国際的な自由貿易の潮流が消えかねない。(ワシントン 塩原永久)

 「あなたの答えには大変失望した」

 2月下旬、米上院の公聴会。貿易交渉を担う米通商代表部(USTR)代表に指名された弁護士のキャサリン・タイ氏の回答に対して、共和党のトゥーミー議員が、そう突き放した。

 トゥーミー氏は「関税を互いにゼロにし、貿易障壁もなくす」自由貿易協定の価値を認めるかと質問。タイ氏が「5年、10年前ならイエスだが、今の通商政策には微妙なさじ加減が必要だ」とはぐらかすと、自由貿易に前向きなトゥーミー氏は、タイ氏の姿勢に「懸念」を抱いたと断じた。