久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ

検事総長辞任で始まった韓国大統領選政局

韓国南西部・光州を訪問し、地検などを視察する尹錫悦検事総長=2020年(聯合=共同)
韓国南西部・光州を訪問し、地検などを視察する尹錫悦検事総長=2020年(聯合=共同)

 韓国は1年後に迫った次期大統領選に向け本格的な政局に突入した。今月4日、韓国検察トップの尹錫悦(ユン・ソンヨル)検事総長が電撃辞任し、直後の大統領候補を問う世論調査で32・2%のトップに躍り出た。尹氏は文在寅(ムン・ジェイン)政権の暗部に関わる捜査の陣頭指揮に立ち徹底的に切り込んだ結果、権力側の包囲網に遭い辞任に追い込まれた。その経緯は韓国政局の縮図そのもので、尹氏は大統領選をめぐる台風の目になりそうだ。第1ラウンドは4月7日のソウル・釜山の2大市長選となる。

辞任引き金は検察解体

 尹氏は3月4日、大検察庁前で、記者団に「この国を支えてきた憲法精神と法治システムがいま破壊されている。検察での自分の役割はここまでだ」と話し、電撃辞任した。

 辞任の引き金は、韓国与党「共に民主党」が年初に突然、開始した「重大犯罪捜査庁」(捜査庁)という全く新しい捜査機関の創設をめぐる対立だ。捜査庁は腐敗、経済、公職者、選挙、防衛事業、大惨事に関する事件の捜査を行い、この6大犯罪に対する捜査権を検察から全て移管するという。昨年の総選挙で国会のおよそ3分の2を制した巨大与党は、捜査庁設置法を「3月初旬に提出する」と急ぎ、これに抵抗する尹氏との対立が深まった。